世界の果てまで

世界の果てはどこですか?
世界の果てがあるということは、つまり世界の中央があるということでもある。
世界の果てはどこかを問うことは、同時に世界の中央を問うことでもある。
南北の軸を言う場合は、極点があるわけだから、世界の果てとは北極点と南極点、中央とは赤道ということになろう。
対して、東西の軸には極がない。だからごく恣意的にしか、中央は規定できないが、現在のところ、国際的にはグリニッジをとおる経線がゼロ、すなわち中央とされている。
経度ゼロでなおかつ緯度がゼロの地点、そこは西アフリカ、ギニア湾沖の南大西洋の洋上だが、地図上はそこが世界の中心と考えられる。
つまりそこを世界の中心とした場合、世界の果てはその反対側、日付変更線と赤道が交わるところ、ここもまた洋上で、南太平洋、キリバス沖である。
そうではなく、グリニッジを世界の中心とした場合は、ニュージーランドを南下した沖、南極海も程近い太平洋上になる。


ドラゴンクエストなどのRPGでよく、北の果てまで進むと、南の果てから出てくる世界がある。
しかしこれは仮に地球を模しているとすれば明らかにおかしいのであって、例えば日本からまっすぐ北上して北極を通過すれば、いきなり南極に出てしまうことはない。北極点を通過すれば、北極から南下して、グリーンランドから大西洋上に出る。
東西には極点がないのだから東の果てはそのまま西の果てである。
西の果てまで進めばそのまま、東の果てに回り込む。
南北の関係はそれとはまったく違っている。
RPGの世界は地球のような球体ではない、ということだ。
東西の果てが辺をなし、あわさっていて、なおかつ、北の果てと南の果てがあわさっていて、しかも北の果てと南の果てが点になっている形状といえば、ドーナツの一点を絞ったような形になる。
笹かまぼこをくるっと丸めて、両端をつなげたような形だ。
これであれば、RPG世界の現象も説明可能になる。
ただ、この場合、点と言っても、点は原子レベルまで微分できるので、原子レベルで見た場合、どれほど極小であっても、厳密に言えば辺になる。
つながっている以上は辺であり、RPGの場合、多くは船が通れるほどの幅は最低限もっているのだから、紛れもなく辺である。
つまり、その世界においては北極点/南極点は存在しない。それがつまり、東西の関係(ぐるっとつながって一周できる)と南北の関係が同じになるということだ。