残念な当選者

今回の総選挙で残念だったことは、城内実氏と田中康夫氏が当選したことだ。
この両者は国籍法改正をめぐる議論では、私とは見解を異にしたが、見解を異にしたからと言ってそれがただちに「落選して欲しい政治家」になるわけではない。
ただ、この二名は、議論から結論を導くということをしなかった。これまでもそうだったし、これからもそうだろう。
思考者として、選良として、知識人として、下の下であると見なす所以である。
国籍法改正をめぐっては、主にふたつの「懸念」が対立した。
ひとつは、国籍法を改正することによって不法移民が増えるのではないかということ。
もうひとつは、国籍法を改正しなければ「生まれながらの日本人」である子供が単に私生児であるからと言って国籍を取得できない人権侵害が生じるということ。
第一の懸念は推測であるのに対して、第二の懸念は現実である。
国籍法改正賛成論者は、第一の懸念に対して、
「国籍法を改正しても不法移民はほとんど増えない」
「不法移民が増えたとしても、人権侵害は正当化されてはならない」
のいずれかの立場、もしくは両方の立場から反論した。
国籍法改正反対論者は、
「国籍法を改正したならば不法移民が急増する」
法の下の平等に反するような憲法違反であっても国防上の理由から人権侵害が正当化される」
両方の立場を明確に主張し、証明すべきであった。
実際には国籍法改正後、それを利用して「何百万人も不法移民がやってくる」というのは嘘、少なくとも間違いだったわけである。
どれほど好意的に言ったところで、彼らに予測能力が欠落していることは否めない。