一票の格差

一票の格差4.86倍合憲でも「大きな不平等」 最高裁 - asahi.com

 「一票の格差」が最大で4.86倍だった07年夏の参院選をめぐり、首都圏の弁護士らが選挙無効を求めた二つの訴訟の上告審判決が30日、あった。最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は定数配分が法の下の平等を保障した憲法に反していなかったと判断し、原告側の上告を棄却した。竹崎長官は法廷で「投票価値の平等という観点からは、大きな不平等がある状態であり、国会において速やかに、投票価値の平等の重要性を十分に踏まえて、適切な検討が行われることが望まれる」と述べた。

妥当な判断だと思う。
今回の判決では二院制の意味、その中における参議院の位置づけについて、司法が踏み込んだ発言をした。
衆議院は可能な限り厳密に、少なくとも2倍を超えることなく、一票の格差が是正されるのが望ましいが、参議院では地方の代表という性格を強めることが望ましい。
一票の格差を厳密に是正すれば、それは直ちに地方の声の切捨てにつながる。衆議院で格差解消を徹底するならば、「一票」ではなく「現実の経済」の都市と地方の格差をどう是正してゆくのか、国家システムとして対応が迫られるだろう。
現状の一票の格差は、都市住民から見れば地方による政治的影響力の窃盗である。
現実政治においてはそれは自民党を利し、票格差が速やかに徹底されていれば、政権交代ははるかに容易だっただろう。
しかし国のあらゆる政策が、都市、特に首都圏のみを対象になされるならば、一票の格差是正は地方の処刑と同義となる。
私は現在の参議院であるならば、参議院不要論者であるが、参議院を地方の代表、連邦国家における上院とすることで、活用できる道もあるのではないかと思う。
少数派、弱者にはアファーマティヴアクションが必要で、生存権は平等原理に優先する。
日本国が統一的な一体感を持った国民国家であるためには、地方が切り捨てられてはならない。
こうした措置を今までは「事実上」格差の放置によってなされていたのだが、これを議論を経た上で、公式のものとして合意を導き出す必要がある。