満身創痍の鳩山首相

鳩山内閣は良くやっていると思う。ただし、鳩山首相はよろしくない。
数々の失言があり、リーダーシップを疑わせる迷言があった。致命的なのは脱税献金である。堀江貴文氏が政治団体を利用した合法的な相続税「節税」の方法を述べていたが、幾つかやりくちがある中で、このやり方は余りにも素人めいている。
それだけに、鳩山氏の母が「急に思い立って」衝動的にした可能性も否定は出来ないせよ、あれだけの巨額の財務的な動きを、受け取る側が把握していないということ自体、故意を疑われても仕方が無い。
故人献金問題は(私としては)ぎりぎり不問に付すことが出来ても、これについてはそうそう大目に見るわけにはいかない。
故人献金が取り沙汰されている時点で、鳩山「代表」が辞任を余儀なくされる可能性はあった。民主党代表がそのまま首相になることを踏まえれば、内閣への責任、国家への責任を鑑みて、あらかじめ代表を退いておくのが望ましいと私は以前、言った。
それとは別の原因ながら、懸念された状況になりつつある。
鳩山内閣は、衆議院選挙を経て、国民の信を受けた政権である。後を誰が継ごうと、総選挙の信を経ていないという脆弱さを持つことになる。
国の形を変えるような改革に望む時に、国民の信を経ていないということが致命的な弱点になることは明らかだ。
実際には有権者の多くは民主党を支持したのであって、鳩山由紀夫個人を支持したのではない。
しかしそれでも、代表と首相の地位はそれだけの重さがあるのだ。この弱点を民主党政権にもたらしたのは鳩山由紀夫個人の責任である。
このまま鳩山首相がずるずると残留しても、例えば今、インドを訪問しているが、すぐに辞任するかも知れないような首相の言に誰が重きを置くのか。
鳩山内閣が続く弊、鳩山内閣が倒れる弊を比較して、早々に辞任した方がまだしも弊害は小さいと思われる。