シンケンジャー、感想(2)

http://d.hatena.ne.jp/susahadeth52623/20100212/1265975833
小覇王さんから、「大人が見ても楽しかった、という視点が多く、本来の視聴対象の児童が見てどうなのかというのが抜けてるのは気になる。」とのご意見があった。私もそれを考えていた。
どのあたりを対象年齢にするのかで事情も違ってくるだろう。私は再放送で視たのだが、ゴレンジャーの後半部分が好きではなかったのは、話の内容が低レベル(と感じた)だったからだ。あの頃、8歳くらいだっただろうか。
アニメや特撮でも、「キャシャーン」や「キカイダー」のように物語の骨子がしっかりとしている作品の方が当時は好きだった。
ただ、幼稚園児の頃を考えてみれば、やはり理解力は足りないわけで、単純明快な作品が好きというか、物語にのめりこむ訓練自体が出来ていないわけである。
バンダイにはビジネス上、「仮面ライダー響」の失敗がある。子供は大人が思っている以上に大人びていると思う反面、やはり子供である部分も当然あって、子供を対象としたとしても、単純であれば良いということにはならないし、ただしついてはいけないレベルもあるので、その兼ね合いが求められる。
シンケンジャーは物語の筋としては、そう難しくはない。「第三勢力」も「新たなる敵」も出てこない。骨子自体は単線的なので、充分に幼児でも理解可能だろうと思う。


シンケンジャーを通しで視ていた私でも、いったいどれだけのロボットが出てきたか、覚えていない。それくらい手を換え品を換え、次々と新しいギミックが投入されていた。要は「新商品」である。
それが作品世界の統一感を損なっていた部分もあった。
例えば、初期折神はそれぞれの使用者のカラーに合わせた意匠になっている。
獅子/火/赤、蛇/水/青、亀/天/ピンク、熊/木/緑、猿/土/黄、である。赤と青はともかく、ピンク、緑、黄の意匠はいまいちすっきりしない。熊が「木」なら猿だって「木」だろう。と言うか猿の方がより強く「木」だろう。「土」ならモグラ等の方が良かったのではあるまいか。亀が天でピンクと言うのはまったく理解し難い。亀は色で言えば黒もしくは緑であろうし、属性で言うなら水だろう。
鳳凰/火/赤、竜/水/青、フラミンゴ/天/ピンク、カマキリ/木/緑、くらいにわかり易い方がよかったのではないか。黄色はちょっと思い浮かばないけど。サソリとか?
ともかくそうして一応整理されているところに、カジキやらトラやらカブトやら、更に明らかに水属性のエビやらイカやらも登場し、折神=使用者=属性の原則が一貫されていない。
また、そうした折神が次々と合体してゆくものだから、最終的にはシンケンジャーが操るロボットは、紅白の小林幸子のようになっていた。
衣装がどうだと言う以前に、動けない。
戦闘が出来る態勢ではないのである。
終戦でドウコクに「でかけりゃいいってもんじゃねえんだよ!」と言うようなことを言われていて、笑ってしまった。これはもちろん、商売上の必要からロボットとしての運動性能を犠牲にした自虐ギャグだろう。
ただ、小林靖子はそれを上手に脚本に取り込んでいて、最終戦ではドウコクに接近戦を計るために直進する途上で、ドウコクの攻撃によって次々と折神がはがされてゆく。折神が装甲扱いになっているわけだ。最後には一番シンプルな初期ロボットになって、乾坤の一撃を与える。
この流れは非常に上手い。商売上の必要から冗談のような姿になってしまったロボットを逆手にとって、ドラマの中にきちんと組み込んでいる。
小林靖子だから出来ることであって、誰にでも出来ると思ったら大間違いだ。バンダイさんもそのあたりをよく考えてもらいたい。
商売上の必要からある程度ギミックの数が必要ならば、最初からそれを想定しておけばいいのにと思う。
例えば十二星座をモチーフにしたらギミックとして十二個も商品が作れる。途中参加キャラクター用にはへびつかい座もある。
商売上の必要は制約ではなく、発想のチャンスである。すでにルーチンワーク化して久しいだろうが、もっとやりようはあるのではないかと思った。