朝鮮学校への公的支援について

北、朝鮮学校に460億円送金 昨年も2億…高校無償化に影響 - MSN産経ニュース

日本国憲法第89条
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

朝鮮学校への「日本政府による」公的支援はこの条文に抵触する可能性がある。「公の支配」をどの程度の範囲で解釈するかが鍵になりそうだ。
会計監査、教育水準の監査(内容ではなく)等々の「公共性」を朝鮮学校側がどれだけ担保できているかも問われるだろう。
ただし、現実として、義務教育年齢の児童も含めて朝鮮学校に通っており、本来、その公共性をまったく日本政府が容認しないのであれば、随時、指導を行わなければならない話である。それが放任されているということは、公共性が担保されていると見なすこともおそらく可能で、全体として一定水準の教育がなされているならば、それを以って公の支配が全体としてなされていると考えるのも不可能ではないだろう。
国公立大学を含めて、外国人学校卒業者には受験資格が与えられており、一定のカリキュラムが施されていると見なすことは、「公の水準」を課してそれをクリアしているということである。
ただ、「水準の達成」と「公の支配の有無」には関係がないとも言え、要はどれほどの厳密さで以って条文を解釈するかということだろう。
日本の行政との関係で、朝鮮学校側が何らかの監査を受けているのであればそこを起点にして解釈もできるのだが。
どちらにせよ、北朝鮮からの資金援助の有無は、(日本政府による)朝鮮学校支援の是非とは法的には無関係の話だと思われる。


整理して言えば私の考えは以下のようになる。
1.国民・政府は児童に対して教育の義務を負う。
2.朝鮮学校に児童が通学している。
3.朝鮮学校に教育において公共性がないならば、児童を通わせない義務を国民・政府は負う。
4.それがなされていないと言うことは、朝鮮学校に公共性があると認められているということである。
5.その、公共性を認めるという行為は「公の支配」である。
6.従って、朝鮮学校に日本政府が公的支援を与えることは可能である。