民主党の騒動についての感想

菅直人氏がどういう人であれ、強制起訴された元代表と、脱税容疑で辞任を余儀なくされた前代表がとやかく言うこと自体、狂気の沙汰というしかない。菅直人首相下しの民主党の内紛を評して国民の九割近くは「小沢派」の動きに不快感を示した。菅直人氏が特別秀でた指導力を持っているという人はほとんどいないだろう。それでも小沢、鳩山よりはマシなのだ。
特に鳩山前首相については、あれほど筋の通らないことを平然と言えるとは、サイコパスではないかと思った。サイコパスという言い方は今日では避けられるべきらしいが、何というのが適当なのかは知らないが、要はそういう、人としての器が土台から崩れている人という印象を強く持った。
これは誹謗のために言っているのではない。真剣に彼は、精神病理の対象として解析される型の人ではないかと疑っている。
こういうことを言うとなんだが、内部の汚泥はどうしても表面に浮かび上がってくるもので、鳩山氏の異常さは顔に表れている。たびたび私は言っているが、鳩山さんは大企業では課長職程度にさえなれないだろうし、あからさまに異常な風体をしている。鳩山家の資産があればこそ守られてきた人であって、自分に向ける冷たいまなざしを持ちようがない境遇は彼にとっては不幸だった。自分の不幸を理解できるほどの客観性もないだろうが。
理もなければ大義もなく、政局をしかけるタイミングとしては最悪に近い。
原発事故の終息はいまだ見えず、復興も遠い。このようなときに、政局をしている暇は一日たりとてない。菅直人首相を批判する人は指導力の不足を言う。だがそれが具体的に何を意味するのかがまったく分からない。
せめて自分ならばこうするというべきだろうが、それが如実に事態を好転させる案ならば、今すぐにでも官邸なり幹事長なりに進言し、「自分」が指導力を発揮すればいいのであって、東北の政治家でありながら小沢氏にそうした動きがまったく見られないことが、そのような案などありもしないことを示している。
菅直人首相の「罪」としてよく言われる例で、福島原発に視察に行ったことが、現場を混乱させたというものがある。これは東京電力からもそういう話が出ていたのだが、こんな与太話が言い訳として通用すると思っていること自体、東京電力という会社がいかに異常な会社であるかの証である。
首相の応対を現場の責任者がしなければならないならば、リソースをとられることになるだろうが、東京電力に他に社員がいないわけがなく、それ用の人員を拡充すれば済むことである。その程度のガバナビリティ、経営能力もありませんと東京電力は言っているに等しいのだが、東京電力と言う規制産業のありかたを思えばそれも当然なのだ。
莫大な利益を上げている産業というのはおおむね規制産業であって、電力と報道各社はその典型であり、政界の子弟も多く送り込まれている。特に電力は、自社商品である「電力」をなるべく使わないようコマーシャルを流している特異な産業であって、そんなところで、まともな経営感覚が育成されるはずがない。
バカでいられる境遇にあって人間がバカにならないはずがないのだ。東京電力しかり、鳩山由紀夫しかり。
東京電力のそのような言い訳の尻馬にのって、菅首相を糾弾する連中ほど哀れで無様な者はない。