小遣い制の話

家計管理。うちの場合は、共稼ぎ、子供なし、なので、状況的には特殊かもしれない。生活費は折半、貯金、保険、投資の部分は話し合って、合意できる分については、それぞれが「支出」し、そこから更に残る分については当人の自由でやっているので、当人の自由の範囲内で何を買おうが何をしようが気にもならない。
自分が稼いできたものではないカネについて、キリキリして怒ったり不機嫌になったりすることほど醜悪なことはないと思っている。家計を完全にひとつにするということは、好むと好まざるとにかかわらずゼロサムゲームに巻き込まれることになるので、醜悪な感情に巻き込まれるリスクを負うことになる。
イラクの油田とクウェートの油田が地下でつながっていて、クウェート原油を増産すればイラクの取り分が少なくなってその不和が湾岸戦争を招いた、みたいなことになるわけだ。
自分の親であれ配偶者の親であれ、親が困窮しているならば子が援助するのは当然だ、と僕は思うが(まあ、普通の親子関係の場合はね)、それですら配偶者の反対で出来ない、という例は結構あるようだ。人の情として、切り捨てられるはずもない相手の親を含めて抱え込む覚悟がないならば、何のために結婚していているんだろうか。いや、持ち家のローンがあってとか、子供の学費がとかそれなりの理由はあるのだろうが、家族の誰かが困窮している時に、家を持ったり子供を大学に行かせる必要があるのだろうか。優先順位が狂っているように思えてならない。
うちの場合はそういうわけだから、もし離婚するとなれば財産的にはわりっとすっぱりと分けやすいのだが、これは同級生同士が結婚して(つまり同年齢)、子供など共通して支出すべき案件が少ない世帯だから出来ることかも知れない。逆に言えば家計が基本的には分かれているため、経済的な理由からはわざわざ離婚するようなトラブルも起きにくいのだが。
専業主婦は経済的には自立していないのだから、社会的にはかなり不利な立場になりやすいのだが、おそらくそれを補填するために、日本では家計の全権を主婦が掌握することが多い。日本人女性と外国人男性が結婚した時にトラブルになりやすいのがこの家計の管理権の所在であって、外国人男性は「どうして僕のお金をキミが管理するの?」と思うらしい。僕は日本人だがまったく同じことを思う。
フェミニストは、家計管理権を掌握する専業主婦、というわりあい日本独特の風習を、「面倒なことを押し付けられているだけ」という被害者意識の文脈で解しがちだが、さすがに無理がある解釈だと思う。以前、テレビで専業主婦の女性が泣きながら、「家計管理を夫が任せてくれないのです」と訴えていた時に「それはひどい」という雰囲気になっていた。妻として尊重されていない、という不平不満になるほど家計管理権は既得権益なのであり、日本の専業主婦が歪だと思う一つの理由だ。
カネを管理したいならば働けよ、と思う。この、妻が働かない問題も外国人男性と日本人女性との結婚では争点になりがちなテーマだ。
まあ、小遣い制の話も、日本的な専業主婦制度も、日本独自の歴史的な経緯からそうなっているわけで、ただ、男女共同参画社会では従来型の専業主婦モデルはロジック的には維持できないのだから、まずもって女性の側が意識を変えるべき問題だと思う。