王の遺伝子

女王シロアリ、子供は後継にせず…王の血を入れないワケは?

 女王の命は永遠? 日本に多いシロアリ「ヤマトシロアリ」の女王は、自分の死後の後継者となる新女王を、王と交配しない単為発生で産むことを岡山大の松浦健二准教授(昆虫生態学)らが発見した。新女王はこれまで、王と女王の娘と考えられてきたが、実は自分自身の“分身”で、女王の座を守り続けていた。17日から盛岡市などで始まる日本生態学会で発表する。

 シロアリは最初に1匹ずつの王と女王が巣を作り、働きアリや兵アリ、生殖能力を持つ羽アリなどを産む。

 松浦准教授らが、ヤマトシロアリの生態や遺伝子を詳しく調べたところ、女王は通常、王と交配して産卵するが、うち2〜5%は単為発生で産み、それが新女王になることがわかった。

 巣が大きくなると、働きアリなどを増やす必要が出てくるが、女王だけでは産卵数が不足しがちになると新女王たちが王と交配し、家族を増やす。20〜30年生きる王に比べて女王の寿命は5〜10年と短いが、分身がさらに分身を産むため、巣が存続する限り、初代女王と同じ遺伝子の女王が君臨し続けることになる。

うーん、不思議だ。
女王が単為生殖をする理由は分かる。
分からないのは、これで言うと、オス、つまり王の遺伝伝達率がメス、女王に較べて、非常に低くなるのではないかということ。
巣の外に出て新たに結婚を行うメスは、交配で生まれるのだろうか。
そのメスも単為生殖で生まれるとすると、メスの遺伝子はずっと変わらないってことになり、有性生殖をする意味がなくなるのではないだろうか。
遺伝子の変化はオスのみで起きることになって、種全体の変化は生じないだろう。
メスに注目してみれば単為生殖で代々、遺伝子が引き継がれるとすれば、オスがいる意味がないので、オス遺伝子の排除も生じないだろう。しかし仮に交配と同様の現象が起きるとしても、その場合はまさしくオス遺伝子の排除が生じるので、どのみちオスは淘汰されてゆくはずである。
だからおそらく、新女王にはふたつの種類があるのではないか。
交配で生まれた女王(外部に出て結婚をする個体)と単為生殖で生まれる女王(母親の巣を引き継ぐ個体)とが。