ニュースのお仕事

遅まきながらNHKの、マスメディアの今後を討論した特番を見た。最近ぜんぜん日本語で書いていないので、出だしからして怪しげな文章だが。
いろいろと言っているが、要は佐々木俊尚氏が番組中で言ったことに尽きると思う。既存のマスメディアはコストが高過ぎる。
日経新聞が先日始めた電子版は月額4000円という、ウェブでは法外とも言える料金設定だが、それだけ日経も生き残りにいよいよ本気を出してきたということなのだろう。
つまり、その価格設定でないと本気で電子版に軸足を移した場合、既存の組織を維持出来ないということだ。
しかしどうなんだろう。
本当に多数の読者がニュースに速報性を期待してるんだろうか。仮に今のマスメディアサイトのほとんどが有料化されたとして(それにしても日経の月額4000円はいくらなんでも法外過ぎて他社はおいそれとは追随できないだろうが)、ストレートニュースにそれだけのカネを支払う価値が大多数の人にあるのか、ということだ。
今でも大多数の日経の読者は厳密な必要からと言うよりは「日経くらい読んでおかないと」という巧妙に操作された強迫観念から読んでいると思われるが、1日待てばほぼ同様の内容の記事を無料で読めるならば、4000円もさすがに支払うだろうか。
ほぼすべてのマスメディアサイトが有料化すれば、無料の、少人数でやっているニュースサイトにとっては逆にビジネスチャンスである。
そうした中小のニュースサイトには取材力は無いが、有料化された大手のニュースサイトの記事を情報として扱い、リライトすれば、ニュースソースには不足はしないだろう。
別に取材源を明かす必要もないのだし、ストレートニュースであればそもそも取材云々の話でもない。大手のマスメディア系ニュースサイトが圧倒的に有利なのはやはり調査報道だろうが、今だって調査報道なんてろくにやっていないのに、財務が弱くなってなお調査報道を柱に出来るはずがない。
1.ストレートニュース
2.論評
3.調査報道
のうち、マスメディアが強いかなと思えるのは3だけで、それさえも日本ではその機能は主に個人のジャーナリストや週刊誌が担ってきた。
中小のニュースサイトは企業規模は小さいが、コストパフォーマンスが大手よりは良くなる余地があるので、おいおい調査報道もそうしたサイトが担っていくだろうと思われる。

いずれにせよ、大手マスメディアは、まず既存の組織を養うためにどうするか、あれこれ策を考えなければならないハンディキャップがあるのであり、JAL と同じく、一回、ご破算にすればよいのだろうが、なかなかそうもいくまい。
でも、ご破算にしないと結局は生き残れませんよ。
だから結局、どういう形で、いつの時点でご破算にするのかという問題である。