EU大統領選び、大詰め ブレア前英首相は難しく

http://www.asahi.com/international/update/1107/TKY200911070393.html
ブリュッセル=井田香奈子】来月に発効することになった欧州連合(EU)の新しい基本条約(リスボン条約)で新設される欧州理事会常任議長(EU大統領に相当)の人選が大詰めを迎えた。とりざたされていたブレア前英首相(56)の実現性は遠のき、中小国の首脳級の人物から選ばれる公算が大きくなった。

そりゃまあそうだろ、常識的に考えて。そもそもブレアの名が取り沙汰されたこと自体、不可解だ。
ドゴールは英国をアメリカの(ヨーロッパへの)トロイの木馬と呼んで、EECへの英国の加盟、EC加盟も10年に渡って妨害した。英国はドゴールに本来、王族に与えられるロイヤルヴィクトリア勲章を授与してまで、機嫌をとったけれど、結局、ドゴール在任中はEC加盟は適わなかった。
加盟が実現してからも、ドゴールが非難した英国のカメレオン性が払拭されたわけではない。
英米枢軸、コモンウェルス、そしてヨーロッパ、この3つのサークルに同時に属すということ自体、トロイの木馬性を内包しているということなんだから。
かの処女王は「二人の君主に同時に仕えることは可能か」という命題を提示したけれど、イングランドこそが今日その命題に直面している。
ましてブレアは独仏と対立して欧州を分裂させた張本人だ。
イラク戦争で、フレンチフライがフリーダムフライと「改名」される嫌がらせをフランスが受けていた時にブレアはヨーロッパのために一体何のリスクをとったのか。
メルケルサルコジが幾ら親米路線に転じたとは言え、また、ブレアがこういう任務に収まりのいい左派に属するとは言え、ブレアがEU大統領? いくらなんでも極端すぎる人事だろうて。
ベルギーの首相は、ある意味適任かもね。小国出身という点でも、EUの主流であるという点でも、調整能力の点でも。
ベルギー王室と英王室はこのところしっくりいっていないらしいけど、かえってひとつのメッセージになるんじゃないでしょうか。