まずは議論を

外国人地方参政権は国民の福祉には直結しない。外国人は厳密に言えば国民ではなく、現政府は外国人を除いた人たち、つまり有権者によって選出されている。
外国人地方参政権が国民レベルで何らかの利益をもたらすとしても、それは抽象的な利益であり、喫緊を要するような話ではない。
これをめぐっては強固な反対派が相当数いて、民主党内にもいる。単に損得勘定からすれば、政略的には先送りにされるような話なのだが、敢えて民主党執行部はこれを出してきた。そこに、何の利益があるのかという話である。
民主党の行動は、「地方参政権を認めても、外国人がキャスティングボートを握ることはない」とする安心論を裏切るような行動である。
政略的にはこれだけマイナスの要素があり、国論の分裂が予想されるにも関わらず、騙まし討ちのような形で民主党がこれを推進すること自体、参政権が無いにも関わらず非常に大きな政治的影響力を在日韓国人社会、あるいは韓国政府が有していることを結果的に明らかにしているからである。
そうした文脈を踏まえたならば、参政権を授与した時に、外国人によって自治体の利益が損なわれるのではないかと懸念するのは可能性に対する懸念としては筋が通っている。
有権者の付託を受けた政府が有権者の定義を変更しようとしているわけで、政府の正統性が有権者の付託を受けたこと一点にあるならば、有権者から再定義について付託を受けているかどうかが問われることになる。
それをはっきりさせるのは国民投票にかけるのが一番だろうし、最低でも公約に掲げて、有権者に選択を求めるべきである。