ケンブリッジ公爵令息の名前について

ウィリアム王子とキャサリン妃の間の娘は、諸メディアに拠れば、ジョージ・アレキサンダー・ルイと命名され、ジョージ王子と呼ばれるようだが、ジョージという名前には何の意外性もないものの、アレキサンダーとルイには、少なくとも私には意外と言うか驚きがあった。
アレキサンダーという名は実はヴィクトリア女王以来、ハノーヴァー家(ウィンザー家)の伝統名であるが、直系の王位継承者の名につけられると国王の名乗りとして用いられる可能性が強まるが、アレキサンダーと言う名はイングランド歴代には見られずスコットランド歴代に見られる名前であって、これまで王室は実際にはイングランドの慣習を継承しているだけに、アレキサンダーと言う名はその流れを断ちかねない危険な名前である。
逆に言えばこれをつけることによってスコットランドに配慮を示し(ウィリアム王子やチャールズ皇太子が持つアーサーという名においてアイルランドに配慮を示しているように)、なおかつ実際には名乗りとしては用いないのだろうが、イングランド直系の公子の名としてはちょっとした呑み込み難さがあるということは分かっておいた方がいいだろう。
より問題なのは、ルイ、である。
Louis は普通は英語ではルイスと発音される。実際、ウィリアム王子の名前の中にある Louis も、由来になっているマウントバッテン家における Louis もルイスである。ちなみに、この Louis の由来は、エディンバラ公の母方の祖父のルイス・アレグザンダー・マウントバッテン(初代ミルフォード・ヘイヴン侯爵)に由来すると言われているが、その次男で、最後のインド総督を務め、1979年にIRAのテロで殺害されたマウントバッテン伯爵ルイス・マウントバッテン海軍元帥のルイスに、ウィリアム王子のルイスという名は由来していると言われていたのだから、正確に言うならば、ジョージ公子が持つルイという名もこちらの由来であるはずだ。
ウィンザー色というよりはマウントバッテン色が強い名前だが、その Louis という名をフランス語発音で発音すると言うのはどういう理由だろう。私は最初は日本のメディアが間違えているんじゃないかと思ったが、英語圏のメディアのニュースの幾つかをヒアリングすると確かに、ルイと発音されている。
おしなべてそう発音されていると言うことはバッキンガムがそう発表したとしか考えられないが、これは何かの手違いではないかと思う。若い夫妻がフランス語発音を用いて独自色を出そうとしたことはあり得るけれども、それならそうと報道されるはずだから。


ところで、この赤ん坊は、本来ならば王族ではない。女王/国王の子、もしくは女王/国王の息子の子までが王族なので、その範囲内に入らないからだ。ただし、昨年末に女王は勅令を出して、この子を王族として扱う旨を布告している。つまり特例で王族なのであって、直系の王位継承者だからそうしているわけである。