皇族の数

秋篠宮殿下が、先日の御誕生日記者会見で、「皇族の数が少ないと言うのも、国費削減の観点から見れば悪いことばかりではない」とのご見解をお示しになられた。そうは言っても、端境期ということもあろうが、絶対数自体の減少はある。
現在の皇室の人数は、天皇家東宮家5人、秋篠宮家5人、常陸宮家2人、三笠宮家2人、寛仁親王家4人、桂宮家1人、高円宮家4人の合計23人である。高齢・未成年・学業・病気・別居等々の事情で、公務から離れていらっしゃる方々を除けば、実働は両陛下、皇太子殿下、秋篠宮・同妃両殿下、常陸宮・同妃両殿下、高円宮妃殿下の、8人の方々に事実上絞られる。
両陛下と常陸宮・同妃両殿下は70代になられていらっしゃるので、公務は削減されることはあっても増やせる状況にはない。高円宮妃殿下はお一人で三人の女王がたを育てていらっしゃるので、公務と言ってもおのずと限界がある。
ほぼ、フルタイムでの実働が期待できるのは皇太子殿下と秋篠宮・同妃両殿下に限られる状況である。
紀宮様が皇室にいらっしゃった頃は、直系の内親王でもあり、外交的にも「使い勝手」がよかったのだが、既に降嫁なされた。寛仁親王家の女王がたが今後、公務を増やされれば、状況は緩和されるだろうが、その方々もいずれは皇室を出て行かれる御身である。
皇族の人数は決して充足な状況ではないが、皇族や王族は特に実働ベースで言えば増減はあるのであって、現在の日本の状況が少ないのは間違いないとしても、他国でもまったく時期的に例が無いわけではない。
英国で言えば、女王の従姉妹にあたるケント公女アレクサンドラ王女などは、現在では王位継承権からも遠く、重要公務で派遣されることもほとんどないが、女王即位後しばらくは、他に適当な人が少なかったこともあって、各地に女王の名代として派遣されている。
あの時期の英国に比較すればまだしも日本の現在の皇族は人数的には多いが、今後、女王方が続々と成人されるとしても、直系の内親王ではなく、皇位継承権も持たないとあっては、格下の印象が否めず、外交的な使い勝手はそうよくはない。
やはり、皇族の数が減少することで一番痛手をこうむるのは外交分野だろう。
サウジでの原発完工式に鳩山首相が政府特使として国際的にはまったく無名な岩國哲人氏を派遣したことが問題になっているが、サウジの王族が出席するような場面では、福田元首相でさえ、「弱い」と言わざるを得ない。
高円宮殿下がご健在であったならば、同殿下あたりが出席なされるのが適当だったのだろうが、同殿下のご逝去によって日本外交はカードを一枚失ったわけである。
共和国ならばいざ知らず、外交的には日本は立憲君主制国家であると認知されているのであって、セレモニー的な外交に皇族を派遣しないということ自体、軽視メッセージになってしまう。
せめて成人なさっておられる女王方の「活用」を期待したいところだ。