天皇家のこれから

今上御在位二十周年に際して謹んで奉祝の念を表したい。
両陛下ともども、本邦においても稀な聖徳の歳月であったと思う。かような英邁なる両陛下はおそらく今後は望んでも得られぬだろう。世界には地位にそぐわぬ君侯も少なからずいることを思えば、明仁天皇、そして美智子皇后を得られたことは、日本人にとっては望外の幸福だろう。
皇統のことは、ともかくも悠仁親王のご誕生により、一息つくことになったが、何もしなければ問題をただ単に次世代に繰り延べることになるのは火を見るより明らかである。
悠仁親王が皇族で最若年であり、おそらく殿下ご自身がお子をもうけられるまで、この先、皇子女がお生まれになることは無いだろう。一番若い妃殿下でいらっしゃる紀子様とても、そろそろお子をもうけられなくなる時期が近づいている。
一方、内親王・女王かたがたは、寛仁親王殿下のご息女がすでに成人し、高円宮家、秋篠宮家とここ数年のうちに相次ぐことになる。ご成婚はめでたいことではあるにせよ、既に紀宮様が皇族を離れたように、このままでは皇室は先細りするばかりである。
皇位継承のことはともかくとして、とりあえず、内親王・女王の皇族離脱をとりやめるようにしてはどうか。
今月の文藝春秋寛仁親王家の彬子女王瑶子女王のおふたりが寄稿なさっておられた。
お二人とも、確たる識見をお持ちのようで、結婚なされたとしても民間に出してしまうにはもったいないと感じる。お二人とも男系による継承を支持なさったうえで、その上で、求められるならば皇族にとどまって責任を果たしても良いとの覚悟をお持ちのようだ。
皇統直系ならばともかく、とどまったとしても皇統をお継ぎになられる位置にはいらっしゃられないおふたりである。それでも必要ならば求めに応じる姿勢をお示しになられるのは、自己犠牲の精神の賜物であろうと私は思う。


私は寛仁親王家の方々とは違って、女系継承も容認の立場だ。ただし同一家系内では男系、男子優先が望ましい。
小泉内閣で出されていた改正案では、完全に「男女平等」で、長子相続を打ち出していた。拙速と言えば確かに拙速ではあっただろう。
しかしそうであるだけに、私は陛下の御意思がそこにあるのではないかと思っていた。
無論、陛下も、審議に集った面々も決して公には出来ないことである。古来の皇位継承の方法論を覆すばかりか、単に女系への継承「も」可能にする案よりも更に先を行った革命的な試案であった。
そうであればこそ、幾ら少人数とは言え、さほどの異論もなく審議がまとまることは通常は考えにくい。それがまとまったということは、内々に陛下の御意思が示されたのではないか、私はそう思っている。


皇室典範改正については、どのような解決を図ろうとも、それぞれに「致命的」な弱点を持たざるを得ない。
結局のところ、誰かが決めざるを得ないならば、何と言っても最当事者である天皇陛下の裁断を仰ぐよりないのではないか。
もちろん象徴であるに過ぎない天皇に法的に裁断は出来ないにしても、内閣の助言と承認に基づいて意見を言うことは出来る。その意見を聞く聞かないの権能が内閣にある限り、事実上、天皇が裁断をすることは可能なのだ。
秋篠宮家の眞子内親王殿下も先だって、ICUへのご入学がお決まりになった。そう遠からず、結婚なされないとも限らない。
残された時間はそう長くは無い。


陛下の御在位がこの先、十年も二十年も続くことを望むが、平成三十一年には、この問題に目処が立っていて欲しいと思う。