自衛隊と思想教育

自衛官の皆様って、ああいう訓話を聞かされるのかと驚いてしまった - Gazing at the Celestial Blue
↑経由で、
朝雲ニュースを見て、びっくり。

また、田母神空幕長も壇上に立ち、近代日本の成り立ちから戦後までをアジアや欧米列強の情勢を交えて訓話東京裁判やいわゆる南京大虐殺にも触れながら戦後教育の危うさや自虐史観を指摘するとともに、国家にとっての教育の最重要性を訴え、部隊において若い隊員の教育に当たる准曹士先任らを激励した。

なんだこれは、と。
朝雲ニュースなる新聞の存在は知っていたけど、最初のリンク先のコメント欄によれば、もともとは自衛隊の共済組合の機関紙から発展したもののよう。
政治職の公務員でない人、しかも自衛官がこういうことを言っていいものなのかね?
そりゃあなたの立場で組織の中で言うことじゃないでしょうと、言いたいなら政治家になればいいのにと思った。
それぞれの人間が個人の立場で何を思おうと、何を憂うとも自由だ。言っている内容の是非は言わない。
ただ、空幕長として自衛官に訓示を与える行為は絶対に個人的行為ではあり得ない。公務員の中立性をいったいどのように考えているのだろう。
いわゆる戦後教育は、選挙によって国民の負託を得た政府が、民意に沿って進められたものだ。
公務員には憲法に沿って、政府の判断を支える義務がある。この人は評論家にでもなったつもりだろうか。かような法治国家の基本秩序を危うくするような人が、国を憂うなどとは、悪い冗談としか思えない。
ご自分に自覚があるかどうかは知らないが、このような人を、売国奴と言う言葉を用いるのであれば、そう評すべきなのではないか。
軍やそれに相当する機関が政治に介入し、法秩序が乱れに乱れることを警戒しなければならないのは、戦前の政府の混乱ぶりを知る日本人ならばなおのことそうではないのか。その結果、どれだけの人たちが犠牲になったと思っているのか。
まして自衛隊は軍事力を保有しているのだ。その軍事力は、法秩序に従って、国民によって負託されたものだということを絶対に忘れて欲しくない。
このような人物が空幕長になれる自衛隊という組織には内部的な問題があるのかもしれない。