社会民主党に望むこと

政権に入るに際して、社会民主党に望みたいのは、拉致問題に対する姿勢と、調査総括である。
拉致問題発覚後、社会民主党はすさまじい非難に晒された。それにはむろん理由があった。
朝鮮労働党と友党であり、日本国内にあって彼らの立場の代弁を行ってきた。拉致問題の存在を否定してきたばかりか、被害者家族の訴えに耳を傾けず、右翼扱いしてことたれりとしてきたのは社会民主党である。
この党の存在が、より早期にこの問題を広く国民に知らしめるうえで妨げとなったことは疑うべくもない。
今、拉致問題は一向に解決の道筋が見えぬまま、風化しつつある。
社会民主党と聞いて、拉致問題のことを思い出す人がどれだけいるだろうか。
拉致問題に対する取り扱いは社会民主党の明白な汚点であった。であればこそ、これについて社会民主党は党の見解と反省を繰り返し、明確に表すべきである。
社会民主党のホームページから、その見解を見出すのは難しい。
私が言いたいのは、社会民主党拉致問題の解明に消極的だったから、北朝鮮のスパイであるとか、どうしようもないアカであるとか、そういうことではない。
「拉致犯罪は極めて重大な人権侵害である」→そう思う。決して許されるべきではない。
社会民主党はこの問題の解明に役立たなかったばかりか結果として妨害した」→そう思う。
「なぜ、対応を間違えたのか、批判と総括が必要である」→そう思う。そのうえで、現実的な政策を再構築してゆく必要がある。
「批判と総括を明確に提示する必要がある」→そう思う。なぜ、ホームページのわかりやすいところに掲載する程度のことが出来ないのか。だいたい調査を行ったのか。
私の要求は過剰だろうか。
拉致問題は右翼に利用されていると主張する人たちがいる。拉致問題で名を挙げた安倍元首相を右翼の頭目のように罵る人たちがいる。
私自身どちらかと言えばリベラルな人間なので、右翼や安倍元首相とは政治見解はほとんど相容れない。しかし彼らが拉致のような、究極の人権侵害を隠蔽したわけではないのだ。
人権を重視するならば、どうして同様の批判を社会民主党に要求しないのか。これはまったく片手落ちというべきで、実際には片手落ちどころの話ではない。
なぜならば、これほどの人権侵害事件についてまったく総括もされていない鈍感さと言う点において、安倍元首相と社会民主党を同程度に位置づけるわけにはいかないからである。
敢えて言うならば、社会民主党はもっとくっきりとした悪である。
なぜ人権派からこそ、執拗に社民党の悪の解明を求める声が起きないのか、まったくもって理解に苦しむ。
児童ポルノ規制反対の動きから、社民党の前衆議院議員保坂展人氏に期待する声がネット上には大きいが、果たして彼は彼の調査能力を使って、彼自身、社会民主党員として当事者のひとりである拉致問題とその「誤謬の過去」について調査報告をしたのだろうか。
どういう人間関係や利害から、被害者の声を無視し、それを否定することになってしまったのか、調べ上げた上でそれを国民に報告しているのだろうか。
まるで拉致問題など社会民主党にとっては無かったかのようになっている社民党のホームページには彼もまた関与しているはずである。
私だけでも、右翼と呼ばれようとも、社民党の「逃げ切り」には非難し続けようと思う。
少数意見保護がどうだという次元ではない、この党は過去に向き合わない限り、民主主義の敵である。