在沖米軍考

日本各地には米軍基地があり、それぞれの地元には米軍基地反対運動があるが、沖縄の状況ほど先鋭化していないのは結局は程度の問題であろう。
米兵の駐留各国での犯罪率については私は調べ切れていないが、ひとつの資料として、
http://matutake-n.blogspot.com/2008/02/1_25.html
http://blog.goo.ne.jp/kentanakachan/e/2d3dc2db6683cfd44581c71bd0bcceed
上記のようなものがある。海兵隊の存在が、ひとつのネックになっていると思われる。
米兵の犯罪、それに伴う基地反対運動、その結果としての普天間基地をめぐる騒動がある時に、軍事的な視点のみで、条約がどうだとか、在日米軍の軍事的貢献「のみ」を言うメンタリティ自体が、状況の改善を阻害していると考えられる。
俺たちが守ってやっているんだぞという上から目線のメンタリティからはなかなか自己を改めようと言う動機が生じにくいし、日本側の貢献を積極的に評価しようという意識も生じにくいからである。
日米同盟がもし危機に瀕しているとするならば、それはより国民の意識に沿った形での解決を図ろうとしている日本の民主党政府の責任ではなく、問題を放置し続け、なおかつ日本国民の平時の福祉にはなんら関心を抱こうとしないアメリカ合衆国の責任である。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100423-00000001-wsj-bus_all
ウォールストリートジャーナルに掲載された上記の論文には矛盾がある。日米関係の重要性を説きながら、ジャパン・パッシングもジャパン・ディッシングもそれを行っているのはアメリカ政府であるという点を黙殺している点である。
ジャパン・パッシングやジャパン・ディッシングが日米関係のみならず地域安定に害を与え、日米双方のためにならないというならば、それを止めればいいだけの話だ。日本政府がホワイトハウスと対話のチャンネルを閉じているわけではない。
ここで引かれている事例も、矛盾に満ちている。中国に9日間も滞在しながら同盟国を素通りしたクリントン大統領(アメリカの大統領である)、それをしたのは日本の首相なのかアメリカの大統領なのか。
パッシングやディッシングが効果的であるのは、それに反応する受容体が存在するからである。
私はそれがベストでもなければベターであるとも思わないが、日米同盟を破棄すれば中国との間に同盟関係を築くことでさえ不可能ではないと思っている。
日米同盟自体を賭け金にして、日本統御を行うことを試みているのはアメリカ合衆国なのだから、統御を全面的に受け入れない限り、日米同盟の安泰なるものは幻想である。
そしてもちろん日本外交は日本の国益に沿って構築されるものだから、どこの国であれ全面的に統御を受け入れると言うことはありえない。