全国学力テスト

全国学力テストの結果 - shin_emonの日記
全国学力テスト - 教育毒本
リンク先のふたつの記事が全国学力テストの分析としては秀逸だった。
大阪の橋下知事大阪府教育委員会を批判したことばかりがニュースとして取り上げられているが、大阪よりも状況が悪そうな高知県、圧倒的に状況が悪い沖縄県の関係者はいったいどう思っているのだろう。
id:shin_emon氏がご指摘のように、相対的な差異、順位などはあってあたりまえなのであって、100点と99点を較べて、上だ下だと言い合っても意味がないが、正規分布で処理をしても、下位都道府県はかなり危ない状況のようだ。
産経新聞による詳細なデータを見ると、
http://sankei.jp.msn.com/photos/life/education/080829/edc0808291713002-l1.htm
小学校での順位と中学校での順位で、かなりの違いがある都道府県がある。これが何に由来するのかは分からないが、考えられるのは、私学の参加がどちらかでの順位に変動要因になっているのではないかということ。
ただ、分母としては私学の参加校数は圧倒的に少ないのでこれがどこまで作用したのかはいまひとつこころもとない。


この順位は全国学力テストが実施される以前から、有名大学の合格者数などから受験業界関係者の間で一般にあった常識とほぼ一致している。
状況が特殊な沖縄県を除けば、高知県が教育底辺県との評価はあって、まさしくこの「格差」が一時的な現象ではなく、それも近年になって固定されたものでもないことが伺える。
司馬遼太郎は「竜馬がゆく」を書いたことから、高知県と縁が深かった人だが、実質的に司馬が見出した坂本竜馬を、高知の人たちが顕彰したがるのを見て、それに謝意を表しつつも、ある種の刹那的なヒロイズムをそこに見出したのか、高知県の学力を引き合いに出してやんわりと苦言も呈している。
それもおそらく30年以上もむかしの話だ。
問題は、こうした状況がいったい何が原因で生じているのか、ということだ。


地方と都市の格差が言われるが、最底辺に近い低所得労働者層が生きていけるのは都市なので、そうした人たちの世帯も網羅的に捉えるこのようなテストの場合、大都市がそれほど振るわないだろうことは予想されるし、実際、そうした結果になっているが、大阪の場合は、その程度が甚だしいので何らかの特殊な事情があることは考えられる。
ただ、そうした一般的な「地方と都市の格差」(一般に使われているのとは意味は真逆だが)の問題に落とし込むことが出来ない、高知県や北海道の方が状況は深刻だとも言える。
id:shin_emon氏はさまざまな相関関係を考慮した結果、離婚率くらいにしかこれという相関関係はないとおっしゃっておられるが、よく分からないというのが本当のところで、構造的な問題かもしれないし、単に教育委員会の質、というようなテクニカルな問題なのかも知れない。
細かくさまざまな指標を分析すれば見えてくるものがあるかも知れないが、漠然と社会資本の希薄さがそこにあるのかもしれないとは思う。