NHKオンデマンドに登録した

実際のところ、テレビはNHKくらいしか見ていないので、NHKオンデマンドに入ればテレビは要らないかも知れない。
奈落は急激に来ると言うが、かつては日本映画がそうだった。
衰退はゆるやかに訪れるのではなく、突然、誰の目にも明らかになるのだ。
マスメディアがインターネット時代には生き延びられないといわれ続けて久しいが、それほど時間的な猶予はないかも知れない。
そうした中で、広告に頼って経営をしているわけではないNHKのみが、NHKオンデマンドのような冒険が出来る。日本テレビもおずおずと「放送と通信の融合」に本腰を入れつつあるようだが、インターネットでの視聴時間が増えるということはテレビの視聴率が下がるということである。
視聴率を民放ほどは重視しなくてもよいNHKなればこそ、新たな収入源に先鞭をつけることができる。
現在あるマスメディアのうち、どうやら生き延びることが出来そうなのは、日本経済新聞NHKだけのようだ。
NHKは公営放送のわりにはビジネス的にはベンチャー精神に富んだ企業で、その時代時代で確実に収入源を確保してきた。
今年、受信料徴収部門の大リストラに乗り出したのも、もちろん受信料は重要な収入源なので切るまではしないにしても、軸足をインターネットに移す決断をなしたのだといえるだろう。
NHKこそ、時代を越えて通用するコンテンツを多数所有している組織はなく、オンデマンド放送にこれほど向いているコンテンツホルダーもない。
今回のサービス開始は直接的には放送法の改正を受けているが、これがNHK側から働きかけられたのは明らかで、インターネット企業に促されるまでもなく、NHKはもっと早くからオンデマンド放送をやりたがっていたのである。
NHKオンデマンドは、一週間の主要な番組を見られるサービスの他に、そのつど、料金を徴収する過去のコンテンツを提供するサービスから成っている。
特選ライブラリーと名づけられたアーカイブには、「映像の世紀」のようなドキュメンタリーの他に、大河ドラマ翔ぶが如く」や「大地の子」などのドラマのようなNHK屈指のコンテンツが並べられている。
第一陣としては過去のコンテンツの中でも特に評価が高いものが揃った感があるが、これで別途に料金がとれるならば、経営にどれほど寄与するだろうか。
映像の世紀」は私はDVDで持っているが、これは購入時で10万円近くした。もっと安くしろよ、皆様のNHKと毒づいたが、それだけの出費に見合う作品ではある。
これが視聴期間は一年ながら、約3000円で視聴できるなら、視聴者にとっても悪い話では決してない。NHKのドキュメンタリーDVDは価格が他よりも高めだったので、オンデマンドサービスは望むところである。
世の常で、新しいことをする限り、批判も多いだろうが、私はNHKオンデマンドの開始を喜び、期待もしている。