大河ドラマの路線

坂の上の雲」と「龍馬伝」に鑑みて、大河ドラマについて語っているブログの記事を幾つか読んでみたが、過去の大河ドラマについて、濃厚な大河ドラマーの評価はほとんど一致しているようだ。
個人的にベスト5を選ぶならば、
1.翔ぶが如く
2.風林火山
3.山河燃ゆ
4.太平記
5.元禄繚乱
になる。
一年間を通してプロの水準を維持できる脚本家がいかに少ないか、大河ドラマを数多く見ているとそう思わざるを得ない。去年の脚本家などは、ようもあれをおめおめと公開出来たものだと逆に感心するくらいで、もはやあそこまで行けば脚本家の責任というよりは彼女を起用した側の責任であろう。
素人に本を書かせて出来が悪いのは当たり前、責められるべきは最初からその程度の力量だと分かりきっている人に本を書かせた人間である。
大河のワーストを挙げれば、
1.信長 -King of ZIPANGU-
2.天地人
の二作品が、竜虎相食む、常勝対不敗、ハンニバルスキピオ、鈴木対佐藤、燦然と輝く双璧であろうが、「信長」の本はそれほど悪くはない。ひどいのは役者である。
逆に、「天地人」の役者は素晴らしいというべきである。特に主演の妻夫木聡氏は、あそこまで言語道断に破綻した役をとにかく一応は見られる程度には作り上げたわけで、その力量たるや瞠目すべきであろう。


もっとも、私が挙げたベスト作品は、視聴率的には低迷したのであって、NHKは公営放送の癖にやたらと視聴率に拘るものだから、「あんみつ姫」みたいなものを作りたい欲求が、隔年ぐらいで噴出してしまうようだ。
天地人」は新たなターゲット、歴女に向けて作られたと思えば、まあそういうものかと思う。歴史ドラマだと思うから腹が立つのであって、最初から腐女子向け同人誌と思えば、諦めもつく。
かつてNHKは大河ドラマとは別枠で水曜時代劇というものをやはり一年間を通して作っていて、「真田太平記」が特に有名だが、歴史ドラマの大河に対し、講談色の強い作品を放送していた。
真田太平記」は傑作と呼ぶに相応しいドラマだったが、かつての大河ドラマのイメージからすれば大河枠では放送されないような作品だったのである。
今は水曜時代劇の枠もないから、大河ドラマになんでもかんでも押し込まれてハッチポッチステーション、ごちゃまぜになってしまっている。
あんみつ姫」をやりたいなら、月曜ドラマランドででもやればいいではないか。小泉今日子主演で。
NHKオンデマンドで配信されているのが「翔ぶが如く」であるように、結局、時代を超えて何度でも視聴されるような作品にはそれなりの質が求められるのだ。
大河ドラマはそういう作品の枠にすれば良いと思う。