タケルンバ卿支援

http://d.hatena.ne.jp/takerunba/20090902/p1
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タケルンバ卿の言うとおり、メリットとデメリットは裏返しの存在であって、それはいかなる選挙制度についても同様。
小選挙区制度の導入については80年代後半から国民的な議論があって、本来、自分たちが選ばれてきた選挙制度を議員が否定するという、難事を成した上で、細川政権の時に与野党が合意して決まったことである。
これは極端に地盤と癒着性質が強い日本の政治状況、選挙を通した政権交代が無いという事情を鑑みて決定されたことであって、国それぞれに事情も違えば最適解も違ってくる。
小選挙区制度に死票が多くなるのは最初から分かっていたことで、だからこそそれを緩和するために比例代表制を並立しているのであって、同様の修正措置(二院制を含めて)はどこの国でも独自に採っている。
小選挙区制が民主主義に反するというのはまったくナンセンスな議論であって、感情論の域を出ない。
中選挙区制度の頃に、幾度か自民党が党勢を縮小させる、社会党が「躍進」したことがあって、それはほとんど自民党のスキャンダルが原因であった。
つまり有権者は「どの候補、どの政党が望ましいか」だけではなく、むしろ「どの候補、どの政党が望ましくないか」で選ぶことが多いということだ。
こうした有権者の投票心理を下敷きにすれば小選挙区制は最合理の解になる。
私自身は小選挙区制を絶対固守する立場ではないが、今のところ現在の制度を変更するまでの理由は見出していない。


中選挙区制度が「民主主義に反する」側面があるのは既に指摘した。
比例代表制の問題点は、多党制になることではなく、無論、多党制によってもたらされることではあるが、政権選択に有権者が関われないことが多いという点にある。
それについて述べる前に比例代表のもうひとつの側面である、意見集約の機能の欠如と、反体制的なカルトに対する脆弱性について見てみると、ドイツでは、それに対処するために足きりを実施すると同時に、ナチス的な言論を公的に弾圧している。
ワイマール共和国は比例代表性を採っており、その制度の中からナチスが生じた過去を鑑みたうえで、そうした極端な「反民主性」を抱えることで、民主主義を維持しようとしている。
しかし比例代表制のもうひとつの側面である政権選択と有権者の乖離については、中間政党が大政党のどちらにつくかで政権が決定されることが多く、中間政党の政策と支持者に過分なプレゼンスを与えると同時に、議会内部の折衝によって政権が選択される、国民の意思が働きにくいという欠点もあるわけである。


二院制をめぐる議論についてはおおむね、タケルンバ卿に同意だが、二院制そのものはあってもいいとも思う。但し、日本の二院制は、上院の権限が極端に大きい制度であり、問題は国家制度全体から政治制度を位置づけるグランドデザインの欠如である。
二院制支持/不支持のデジタルな議論ではなく、タケルンバ卿がここで提示されているデメリット、そして二院制が無くなった場合のデメリットを鑑みた上で最合理の解を導き出す姿勢が必要だろう。