民主党政権人事

次第に明らかになってゆく民主党の政権人事だが、小沢一郎氏を幹事長にするのは果たして吉と出るかどうか。
私は小沢氏は選対本部長のような職務を新たに創設して、名誉職の副代表兼務で選挙に専心させるのが良いのではないかと思った。
今回の政権獲得では、民主党は政府と党の二重権力構造解消を目指し、政策立案機能をすべて内閣に置く、政調会長国家戦略局担当大臣となる予定の菅直人氏に兼務させる見通しである。
小沢氏が幹事長になったとしても、政策権限は抑える予定なのかも知れないが、幹事長は党のスポークスマンでもあり、アカウンタビリティを果たす能力が著しく低いことが既に明白な小沢氏を幹事長にするのは、職務内容から言ってもリスクが高い。
と言って、仮に副首相のように内閣に名誉職で取り込んで、あるいは衆議院議長に祭り上げても、黙っている人ではそもそもないから、選挙という実務を与えるとしても、それ以上のことには関与させないようにしなければならない。
小沢一郎氏には政局勘が決定的に欠けているため、政策に絡めて政局に口出しをされれば新進党の二の舞になりかねない。
細川内閣以来、20年ぶりの政権交代小沢一郎氏がいればこそ可能になったのも確かだが、彼がいればこそ20年を空費したのもまた確かなことである。
ともあれ、当面は小沢氏も選対に専念するだろうが、来夏の参院選、これが関ヶ原の戦いの後の、大坂の陣になる。元和偃武参院選後が本番であり、ここを乗り切れば、国政選挙はその後、3年間は無い(解散がなければ)。
建設のための貴重な凪の時間を民主党政権は手に入れるだろう。むろん、あくまで参院選で勝てば、の話だが。
仮に参院選でも民主党が勝ったとしても、人事的な問題はその後に発生する。選挙という仕事と「生きがい」が当面なくなった小沢氏をどう処遇するかという問題だ。
ものすごく人でなしなことを言えば、その時点で小沢一郎氏の歴史的な使命と役割は終わるのだから、蜂は一度刺したら死ぬ、その時点で退場して貰うのが日本のためには一番いいことだと思う。
しかし当面の人事課題としては、ともかく小沢氏を(政策に関与しない)幹事長として選対に専念させるのは、まずまずの処理だった。
私は小沢氏を仮に選対本部長に据えるのであれば、幹事長には鳩山氏の腹心か、全方位フレンドリーな人物を据えるのが良いと思っていた。官房長官に内定している平野博文氏はむしろ幹事長になるのではないかと思っていた。野田佳彦氏か。
梁瀬進氏も有力な候補ではあろうが、彼はリベラル色が強すぎて社民党と連立を組むならば、社民党と結託して党内党になってしまうおそれがある。彼に限らず、民主党左派は取り込み可能な横路派以外は冷遇するのが吉だろう。
官房長官国家戦略局担当大臣と副総理との兼務で菅直人氏だろうと思っていた。政策的には民主党はほぼ一貫して菅直人氏が主導してきたから、実際の人事もおおよそそれに沿った形になっている。


自民党の総裁候補といわれる面々の顔ぶれを見れば明らかな通り、閣僚経験は政治家を大きくし、知名度を全国区にし、スターにする。そしてそれがまた党の力になる。
衆議院議長には横路孝弘氏を据えるのが良いだろう。要は党内左派はなるべく名誉職なり閑職につけるのが良い。これは鳩山内閣の利益の観点から言っているのであって、別に民主党左派を敵視しているわけではない。
同様の理由で、社民党国民新党にも閣僚ポストはなるべく与えないことである。橋本内閣で自民党菅直人氏(当時、さきがけ所属)に厚生大臣ポストを与えたことが、自民党にとってどれほど甚大な被害をもたらしたかは今回の政権交代を見れば明らかで、民主党の利益のためには他党にスターを産む芽は摘んでおくべきである。
連立を組むとしても、既に知名度のある人を起用すべきで(新たなスターを産ませないため)、例えば社民党から民間枠で保坂展人氏を起用するなどは民主党のためには論外だ。保坂氏は仕事をするだろうから、社民党にスターを作らせてはならないからである。
党首会談を閣内でする名目で福嶋瑞穂氏と亀井静香氏を起用すべきで、それもなるべく懸案の少ないところに回すべきだろう。
亀井静香氏を法務大臣、福嶋瑞穂氏を環境大臣あたりが妥当ではないか(その逆は妥当ではない。社民党を公安関係の職につけるべきではない)。


前原、岡田の代表経験者は閣内に取り込んで置くべきだろう(野に置いておくべきではない)。鳩山氏との関係が微妙なればこそ、首輪はつけておくべきである。
下馬評どおり、前原氏は防衛相が適任で、岡田氏は既に外相に内定している。岡田氏の外相は、正直言ってどうなのかな、総務相財務相が適任だろうとは思うが、まあ、まずまずのところだろう。