少子化対策担当大臣

少子化対策担当相に福嶋瑞穂氏が起用されたが、そもそもこの職務は一体何をする仕事なのだろうか。
少子化担当の国務相が設けられたのは、2003年、第一次小泉第二次改造内閣で、国家公安委員長国務大臣職)と兼務した小野清子氏が最初である。
以後、南野知恵子(法相兼務)、猪口邦子(以上、小泉内閣)、高市早苗上川陽子(以上、安倍内閣)、中山恭子福田内閣)、小渕優子麻生内閣)の各氏が就任しているが、さて、何の成果を挙げたのだろう。
内閣自体も短命であったことから、在任が短い人が多く、それも多くは兼務である。
小渕優子氏は、大臣就任後に、

(1)少子化対策はどちらかというと妊娠・出産が中心だったがそうでもないのではないか
(2)若者支援は点ではなくライフステージのうえでとらえていく必要があるのではないか
(3)若者支援は若者対象だけでなく支援者も対象に含めた包括的な支援が必要なのではないか
(4)若者の実態を正確にとらえる必要があるのではないか

−−と述べ、「これまでの認識を改めないといけないことがわかった」と率直に語った。

との見解を出して、「そこから始めるのかよ」と多くの人をげんなりとさせた。
少子化対策少子化問題のみを論じていてもどうしようもないのは、誰の目にも明らかで、有効な対策を取ろうと思えば、国家のあらゆる枠組みを根本的にいじらない限りどうにもならない。
そもそも「保守」がどうこう出来る問題ではないのだ。
彼女ら(奇しくもこれまでの少子化対策担当大臣はすべて女性である)前任者たちに較べて、福嶋瑞穂氏にまだしも期待が持てるのは、彼女が「とんでもない」人だからである。
家族を解体し、私生児の権利を強化し、親権を弱め、専業主婦を立ち行かなくさせ、そうした保守の価値観にことごとく刃向かう対策をたてぬ限り、少子化対策などどだい無理なのだ。
これは革新の仕事である。
そして、少子化対策とはほとんどは少子化対策ではない。それは労働問題であり、民法の問題であり、税制の問題である。
とりあえずの第一歩として、少子化担当相がリードして、夫婦別姓、私生児差別の完全撤廃の民法改正を行ってはどうか(というか、当面の仕事としてはそれくらいしか手が付けられないだろう。それくらい、ではあるが、これまでの担当相はそれさえ手をつけなかったのだ)。